会社が赤字に傾き、去っていく社員もチラホラ出てくると、社内の連携も上手くいかなくなり、社員の動きも徐々にバラバラになっていきます。
遂に弟に年収を抜かれる
開発部門、営業部門も必死に頑張っていましたが、会社はもう行き詰った状態でした。年々下がっていくボーナス。そんな中、たまたま家族で食卓を囲んでいるとき、弟の給料が大幅に昇給したという話を聞きました。何気なく年収を聞いてみると、自分よりも多く貰っていることが判明。表面上は平静を装っていましたが、内心はかなり動揺していました。
当時、私は結婚を約束している彼女がおり、今後の生活を考えると、このままこの会社でいいんだろうか?
給料を上げるためには、この会社にはもう期待できない。自ら環境を変えるしかないんじゃないか?
入社当時は考えもしなかった「転職」がいよいよ現実味を帯びてきました。
転職は裏切り行為なのか?!
「いざ、転職!」と思っても、なかなか行動には移せませんでした。会社に対しては色々な不信感があったとはいえ、上層部含めて本当にいい人ばかりでした。そもそも自身が就職活動で苦しんでいる中、手を差し伸べてくれた会社です。
「転職することは会社を裏切ることなんじゃないか?」
転職を考えると常にそのことが頭に浮かびました。
でも今後の生活を考えるとそんなことも言ってられない。まずは転職サイトに登録することから始めました。
ひとまず大手転職サイトに登録すると、転職エージェントからメールに電話の雨あられでした。これといった資格もスキルもありませんでしたが、恐らく20代という若さを理由に色々なエージェントさんは声をかけてくれたのかなと思います。
源泉徴収票を見て決断!転職活動開始!
2017年の源泉徴収票を見ると、前年より20万程年収が下がっていました。
「よし!動こう!」転職を決意した瞬間でした。
特にやりたいことはなかったので、ひとまず「安定」を求めて転職活動を開始。
大手企業やその子会社、医療機関、行政関係にターゲットを絞って活動することにしました。
私はなるべく自分のペースで、自分の意志で転職活動をしたかったので、エージェントサービスの登録はしていなかったのですが、優良求人はエージェントさん経由でないと受けられないことを知り、渋々、エージェントサービスに登録しました。
エージェントさんは人によって対応はまちまちで、中には不誠実なエージェントさんもいましたが、ほとんどの方が親身になって対応してくれたので、登録しておいてよかったと思います。応募する会社の面接傾向を教えてくれたり、有益な情報を頂けたのはとてもありがたかったです。
蘇る悪夢の就職活動 転職活動は大苦戦
最初に応募した会社は地元の大手製造会社でした。職種は経理職。
この求人にはエージェント経由で応募したのですが、一次面接に進むと、面接官から「今回の募集は経理ではなくて、原価管理なんですよね。求人会社さんが勘違いしたかなぁ?」
私「・・・・」
面接は和やかに進みましたが、当然不合格。その会社は複数の職種の求人を出しており、エージェントさんの手違いがあったとのこと。
転職活動のデビュー戦はほろ苦い物となりました。
その後も、医療機関や大手企業に応募しましたが、お祈りメールが続きました。ある医療機関では面接の際に、内定を前提とした待遇説明があり、受かる気満々でいましたが、まさかの不合格。あれは本当にショックでした。
転職先が決まり、いよいよ会社に退職届を提出
転職活動を開始して1年、福士系の半官半民の企業に内定を頂き、そこにお世話になることに決めました。内定通知を貰った翌日、まずは会社の総務部長に退職する旨を告げようと心に決めて出社したのですが、いざ、部長を呼び出そうとしたときに、色々とこみ上げてくるものがあり、その日は結局退職すること言い出せませんでした。自分で転職すると決めたはずなのに、いざそれが現実となると、「俺、本当に本当にこの会社辞めるんだ」と、今の状況がまだ自分の中で整理できないでいました。
最後はお金の面で不満はあったけど、いい人ばかりだったし、沢山かわいがってもらったし、自分はこの会社の事はやっぱり好きなんだなぁとしみじみ感じました。
翌日、意を決して、総務部長に退職する旨を伝えました。理由を聞かれたので、「今後結婚も考えている中で、今の給料では正直生活が厳しい」と正直に伝えると、部長も納得してくれました。やはり会社側も少ない給料で申し訳ないという思いがあったようです。
今まで本当にありがとう!
後日、社長、総務部長、私の後任と打ち合わせを行い、引継ぎの予定を確認しました。お世話になった会社には迷惑をかけないためにも、引継ぎ期間はしっかり取りたいと考えていたため、次にお世話になる会社には内定から入社まで4ヶ月の猶予を頂きました。
残り4か月間は有休も消化せず、仕入先への挨拶と後任の紹介、後はひたすらマニュアル作りとレクチャーを行いました。
退職を宣言してからも経営層はじめ社員の皆さんは決して冷たい態度を取ることなく、むしろよりいつも以上に温かく接してくれました。
個人的に嬉しかったのは、仕入先の皆さんに退職の挨拶をすると、続々と会社の方にお越し頂き、労いの言葉や「個人的にお世話になったので」とのことで贈答品を頂けたことです。社内だけではなく、社外の方にも支えられていたのだなぁと実感しました。
そしていよいよ最終出社日。車通勤で何気なく通ってきたこの道も今日で最後かと思うととても感慨深かったです。
まずは社長、それから経営層、全社員に挨拶回りに行きました。社員の皆さんからは温かい言葉と社員一同ということで、豪勢な贈答品や色紙を頂きました。
そして定時時刻の17時、最後のチャイムが鳴りました。この瞬間を持って、もう自分はこの会社で仕事をすることはなくなりました。
その夜、多くの社員の方々に送別会をして頂き、最後の挨拶。
「今まで本当にありがとうございました!」これ以上の言葉が見当たりませんでした。
こうして最後の挨拶を終え、この会社での会社員人生に幕を閉じました。
転職したことは後悔していない
今振り返ってみても、転職したことは間違っていなかったし、後悔もしていません。でも、新たな職場で若干人間関係に苦戦している今、前の会社では本当に恵まれた環境で仕事をさせて頂いていたのだなと、改めて感じています。
転職した今でも前の職場のことを忘れたことは一時もないし、今でも社員さんたちとは定期的に交流させて頂いています。
今現在も不景気で苦戦が続いているようですが、何とか時代に合ったヒット商品を開発して、自分が入社した当時のようなバブルを巻き起こしてほしいと心の底から願っています。